サーフィンのスタイル
今までにサーフィンにおいて、様々なスタイルが確立された。大きくは、ロングボーダーにショートボーダーに分類される。
これは、日本でも顕著に見られた。1970年台のサーフボード革命により、サーフボードは短くなった。
これに伴い、左右のどちらかにしか進行できないサーフボードが、縦への移動が出来るようになった。深いボトムターンからの垂直リッピングも可能となった。更にボードは進化し、ロングボードでもショートボードと同じ様な技が出来るようになった。
皆が、大会を注目し、それに習った。確かに難易度の高い技をボードの性能によって、容易に出来るようになった。
しかし、その代償として失ったものも多い。相手との技を競い合い、点数や勝ち負けに固執するあまり、本来の波に乗る楽しさを忘れてしまった人も多い。
ファンを追求するボード
ロングとショートに2極化したスタイルにクサビを打ったのは、間違いなくファンボードであろう。
その名の通り、楽しむことを重視したボードである。この呼び名は、初心者ボードのイメージが強く最近では、オルタナティブボード等で呼ばれることもある。
ここでは、大会に参加するための本気ボードと対局する意味でもファンボードと呼称する。このボードは、ロングやショートの大会の規定には、含まれず大会にでられない。
故に、波とたわむれ、楽しむことしか出来ない。だから良い。このボードの復刻により、サーフィンのスタイルは無数に増えていった。
地域によるスタイル
サーフィンが行われている地域ごとのスタイルは、大きく3つに分けられる。
ハワイ、オーストラリア、そして、カリフォルニアだ。
ハワイは、誰もが想像しうるビックウェーブを乗りこなすスタイルだ。
オーストラリアは、競技を好む国民性から、そのスタイルも想像できよう。
最後にカルフォルニアだが、この地域は特にバラエティーに富むところだ。中でも、昔ながらのクラシックスタイルは、芸術的な領域まで高められている。
クラシカルなロングボード(ピッグ)は、現在の大会で使用されているロングボードと異なり、重量は重く、ロッカーもなく、レールにエッジも付いていない。容易にとり回すことが出来ない。
しかし、一度レールが波に食い込むと、素晴らしいほどのスピードと安定感が約束される。このスピードを生み出すために、無駄なアップスンダウンは必要ない。ただ、波のブレイクにボードをあわせるだけである。
クラシックなスタイルで波に乗りたいのであれば、ピッグに乗るしか方法はない。クラッシックぽくボードを削ろうが、それっぽく乗ることは出来る。しかし、スタイルとまでは言えない。道具(ボード)がスタイルを創造するのだ。
ハルという乗りもの
ピッグと、もっとも相性の良いファンボードがある。クラシックスタイルのロングボーダーがセカンドボードとしてチョイスするのは、ハルしかないと考える。
しかし、ハルは、乗り手を選ぶ。いかに、洗練されたマニューバーを刻めるサーファーでも、このボードには、手を出さない。逆かも知れない。
マニューバーを刻めるからこそ、その能力を封印されてしまい、手が出せないのだ。もちろん、マニューバーが出来ないサーファーには、乗りこなせるはずがない。ディスプレイメント・ハル。今、私を虜にするサーフボードだ。