「フィンを変えると別のボードにのっているみたい」と感じるサーファーは多い。フィンを変えるだけで、サーフボードの乗り味は劇的に変化をする。では、どんなフィンをつけたほうが良いのか。
より水面をもとめて
ジョージグリノーというサーファー程、波の奥底に滞在した人物は他にいないであろう。ロングボードの創世記に、スタンドアップする事を考えず、ひたすら水面へと近づく為、ニーボードを貫く。
サーファーは、社会から見ると異端児と捉えられることが往々にしてある。そんなサーファーの中で、特に異様な存在であるのが、このジョージグリノーではないか。
1967年には、Veloと呼ばれるニーボード(スプーン)で、波の奥深く、そして、水面に最も近い位置にステイし続けていた。このジョージグリノーのフィンに4Aというモデルのフィンがある。
ツナフィンと称され、マグロやカツオなどのヒレをモチーフにしたフィンである。
ツナフィン
マグロやカツオなどの魚類は、40億年前に海が生まれてから、生命が誕生し、現在まで、様々な進化をしてきた。
海での生存競争を生き残り、生活していく為に、ヒレは大切な舵取りとして、今の形に成長を遂げた。
このヒレを完全なまでに再現したのが、この4Aモデルである。特に形状だけでなく、トップのフレックス(曲がること)は、ボードから受ける水圧を、直進するスピードへとスムーズに移行する。
今まで様々な、フィンを試してきたが、このフィン程ボードを自然な動きにコントロールするものはない。このフィンを使用すると、ボードが生き物のように波を泳いでくれるのだ。
ジョージグリノー
何十年に一度訪れる巨大な大波、それは、決まって水曜日に訪れる。その映画の名は、『ビッグウェンズデー』である。
日本では1979年に上映された。この映画は、1960年のカルフォルニアの海辺の町を舞台に3人の若者がサーフィンを通じ、社会の現実と向き合いながら成長していく物語である。
物語はここまでにして、この映画のサーフシーンの撮影にフォーカスしてみる。この映画は、実在するサーファーがモデルであり、また、多くの名サーファーがライディングシーンの撮影に貢献している。そして、水中撮影をとっているのが、ジョージグリノーである。
これは、ジョージグリノーの活躍にヒトコマに過ぎない。彼のサーフィン界への最大の貢献は、ショートボード革命であろう。このことに関しては、書きたいことが多すぎるため、新たな機会を捉えて特集していきたい。
カリフォルニアの農場で育ち、ボードの上には立ち上がらず、ニーボードと言う選択肢を貫いたジョージグリノーの視界には、なにがあったのであろうか。