ヴィンテージボードと言えば、60~70年代のボードが主流となる。60年代のロングボードは、ラインが美しいものが多い。70年代になってくるとショートボードへの進化の過程を垣間見ることが出来る。ヴィンテージボードの魅力には、ボードとしての機能より、背景にある物語にある。
ヴィンテージボードをリペア
近年、クラシック系のロングボードに乗るサーファーは、多くなってきたと思う。年輩の方だけではなく、若い方から女性まで年齢層から性別を問わず楽しまれているところだ。
著者もクラシックロングボードの魅力に取り付かれたひとりである。このボードの最大の魅力は、なんといっても波との調和であろう。無理なアップスンダウンを必要とせず、波のブレイクに合わせるだけで良い。
ただ立っているだけ、それだけで気持ちが良い。そんなクラシック系のロングボードであるが、重量に操作性にと大きく改良されている。
本当のクラシックスタイルを極めようと思えば、当時のボードに乗るしかない。そんな思いから、数年前に60年台のヴィンテージロングボードを購入した。しかし、大きなリペアが必要なことから、今まで使用することが出来ていなかった。
そのヴィンテージボードをついにリペアしてもらえる機会を得た。
購入したのは、日本で初めて本格的に量産化した国産ボード、MALIBU(マリブ)のエミレーターであった。
縁あってリペアをして頂くことが可能となったが、ヴィンテージボードは、日焼けをしており、その色合いを残した上でリペアして頂いた。私には、想像もつかないほど大変な作業であり、巧みの技術を必要とすると考えられ、ただただ感謝の気持ちでいっぱいになった。
そして、ついにヴィンテージボードを乗る覚悟を決めたのが、今日である。
ヴィンテージボードに乗る
8時頃の波情報をみると、予想より少しだけ波があった。昼から予定が入っていたため、近場の由比ヶ浜で波乗りすることにした。
サイズは、ヒザ~モモであり、初めてのヴィンテージボードを試すには、良いコンディションであった。昔のボードにはリーシュカップがついていないので、ノーリーシュとなってしまう。それだけ技量があれば良いが、私には無理である。このボードはとても重い。
こんなボードを流して人に当ててしまったら大けがをさせてしまうので、少し工夫をしてリーシュを付けれるようにした。ヴィンテージボードとしての当時の雰囲気は壊さず、マナーは守れる配慮をした。そして、いよいよテイクオフである。
乗った感想は『おもしろい』である。このボードの長さは、9’11”と最近のボードと比較すると非常に長い。そして、厚くて重くて、幅は意外に細い。テイクオフは、そこそこ速かった。
ターンは、最近のクラシック系のロングボードと比べても、もっと鈍感である。そして、波のフェイスに合わせて走らせるのも少し技術がいる。しかし、『おもしろい』。
それは、ボードの乗り味もそうだが、ボードの背景にある物語を思いボードの歴史を感じながら、乗っているからなのだろうか。
このボードを乗りこなして初めて、クラシックロングボードのスタイルが確立するのだと感じた。