銃弾の様なサーフボード
ワイメアといえば、世界でも有数のビッグウェーブのサーフポイントである。この波を乗りこなすためには、サーファーとしての技量は、当たり前だが最高級を必要とする。
なおかつ、注目すべきはサーフボードの形状であろう。そのボードは、ロングボードと同様に9フィート以上の長さを有する。しかし、ボードの幅は非常に狭く、厚みはロングボードに負けていない。
ワイメア等のビックウェーブは、波の波長が恐ろしく長い。このため、この波長にボードを適用させるためには、通常では考えられない驚異的な速度を必要とする。
このため、直進性のみを追求したサーフボードが必要となる。この特徴的なボードがガンと呼ばれる代物だ。
ワイメアベイガン
世界最高のシェイパーは、ディックブリューワーであることは、世界中のサーファーの共通認識である。
特に、ガンボードは、絶品である。私も、9フィートのワイメアベイガンを保有しているが、その存在感は、まるで、息を飲むほど美しい日本の名刀菊一文字正宗のごとく、他のボードを圧倒する。
そのアウトラインは、ガン特有のクラシカルなラインで、イーグルノーズ、ミディアムテーパーにフラットVボトム、ブランクスは、ジャックリーブスによるものだ。
クラークフォームのレッドウッドストリンガーを使用。まさにディックブリューワーの織りなす芸術的な一品である。
ホビーのディックブリューワーガン
ガンボードをシェイプさせてたらブリューワーの右にでるものをいない。これは、間違いないであろう。このブリューワーだが、一時期、カルフォルニアでシェイプしていた時期があるという。
しかも、HOBIEでテリーマーティンとともにシェイプしてたというから驚きである。このガンは、88本しか削られなかったらしい。私も実物を見たことはないが、#11と#65は、Surf’60Styleで見ることが出来る。
ハワイの大波を乗りこなすために生まれたガンボードは、長く、厚く、そして重くすることがセオリーであった。ブリューワーのシェイプしたホビーのガンも、その特徴が顕著である。
選ばれたもののみ、乗ることが許された特別なもの
大波に乗ること。それは、命がけの挑戦であり、特別なサーファーにのみ許される。
命をかけることは簡単ではない。
丸腰で戦場には行けない。
生きて戦場から帰還するには、洗練された武器が必要だ。どこの誰が削ったかわからないようなボードでは、命を懸けることなど出来やしない。
しかし、このブリューワーガンであれば、挑戦する事は出来るのであろう。私のビックウェーブへの挑戦は何処・・・。